【週俳9月の俳句を読む】澤街さんと街澤さん 鴇田智哉
【週俳9月の俳句を読む】澤街さんと街澤さん鴇田智哉バリカン当てられ羊前肢に宙を蹴る 池田瑠那前半と後半での緩急の切り替わりがいい。前半は、当てられ、と受け身の表現にはなっているものの、バリカンを当てる側の、人間の手の冷静さが見える。そうしたなだらかな上八に続き、後半は、手花火の火花のようにきゅんきゅんとした動きが見える。秋風や羊楕円のひとみ持ち...
View Article【八田木枯の一句】秋夕やけ西のあはれを照らすなり 西原天気
【八田木枯の一句】秋夕やけ西のあはれを照らすなり西原天気『汗馬楽鈔』(1988年)より。秋夕やけ西のあはれを照らすなり...
View Articleあとがきの冒険 第13回 穂村弘・わたしはまちがっている・雪舟えま 『ユリイカ 特集*あたらしい短歌、ここにあります』のあとがき 柳本々々
あとがきの冒険 第13回穂村弘・わたしはまちがっている・雪舟えま『ユリイカ 特集*あたらしい短歌、ここにあります』のあとがき柳本々々『ユリイカ 特集*あたらしい短歌、ここにあります』の「編集後記」には編集の Yu...
View Article名句に学び無し、なんだこりゃこそ学びの宝庫 (27) 今井聖
名句に学び無し、なんだこりゃこそ学びの宝庫 (27)今井 聖 「街」121号より転載人参を並べておけば分かるなり 鴇田智哉...
View Article【落選展2015を読む】 補遺 全応募作より印象句 仲寒蟬 × 上田信治
【落選展2015を読む】 補遺 全応募作より印象句仲寒蟬× 上田信治»落選展2015≫ (1)「水のあを」から「梅日和」まで≫ (2)「塔」から「一睡」まで 2. 青島玄武 「おしりの人」仲 寒蟬 選神様が旅立つ二両列車にて爪先を辺境と思ふ霜柱をさな子の尻の重たしあたたかしおにぎりも子供も山も笑ひをる晴れ晴れと象の交める涼しさよ上田信治 選...
View Article【落選展2015を読む】 (2)「塔」から「一睡」まで ……仲寒蟬 × 上田信治
【落選展2015を読む】 (2)「塔」から「一睡」まで 仲寒蟬× 上田信治»落選展2015≫ (1)「水のあを」から「梅日和」まで19. 折勝家鴨 「塔」 *予選通過作品信治選 冬立つやひとりひとつの顕微鏡 臘梅や水を掃きたる竹箒 * 理科室の棚に鍵あり梅の花 鳥雲に入る半地下の文芸部 紙折つて塔の立つなり夏はじめ * 足首の無防備にある泉かな * 蟬時雨腕立て伏せの胴長し...
View Article週刊俳句 第496号 2016年10月23日
第496号2016年10月23日【落選展2015を読む】 (2)「塔」から「一睡」まで ……仲寒蟬 × 上田信治 ≫読む■名句に学び無し、なんだこりゃこそ学びの宝庫 (27)人参を並べておけば分かるなり 鴇田智哉……今井聖 ≫読む■あとがきの冒険 第13回穂村弘・わたしはまちがっている・雪舟えま『ユリイカ 特集*あたらしい短歌、ここにあります』のあとがき……柳本々々...
View Article10句作品 確かなあはひ 樫本由貴
クリックすると大きくなります確かなあはひ 樫本由貴塔といふ涼しきものや原爆以後朝や僧まづかげろふを掃いてゆく桜子てふ桃子の姉や桐一葉つとめての紅葉を下に安芸の橋空をして確かなあはひ雁の飛ぶ火葬場のけふを紅葉の坂なりけり花カンナからりと生けて授乳室早退や街は銀杏の重さして色変へぬ松や地蔵の顔あはき木の実降る限りこの川原爆以後
View Article10句作品 冬が来るまでに 福井拓也
クリックすると大きくなります冬が来るまでに 福井拓也旅人はギリシャの木槿銀時計傾くと露とは軽き眠りかな秋風を誘へる笛の小さかり小鳥来る水の歳月なりしかなとんぼうとなりときどきは日の流れいわし雲微熱の指の長さかなあるこほる流るる曼珠沙華は白燃ゆるならてのひら月の便りかな十三夜おほきなおほきな砂時計歩くほど砂漠へと冬隣かな
View Article10句作品 そつと鳥 野名紅里
クリックすると大きくなりますそつと鳥 野名紅里混ぜるたび湯気新たなる茸飯船留むる縄の太きや台風来水澄みて口笛吹けばそれも澄む試着室の鏡の中の秋思かなパレットの端に石榴のいろ作る消火器の剥き出しにある文化祭花の絵の切手を並べ露けしや切実な嘘なら許す柿たわわ月光に知る公園のかたちかな朝寒や植物園にそつと鳥
View Article青春のかたみ 遺句集『散木』を頂点とした福永耕二論 大林桂
青春のかたみ遺句集『散木』を頂点とした福永耕二論大林桂序 福永耕二とは誰か福永耕二(1938-1980年)は「馬酔木」と「沖」を中心に活躍した俳人であり、生没年からも明らかなように、彼は夭折の俳人である。第一句集から遺句集までの作品群は、彼の句歴の履歴書であり、満四十二年で閉じられた彼の人生の証明書といってさしつかえないほどである。福永耕二といえば、 新宿ははるかなる墓碑鳥渡る...
View Article『文の京WS来たれ俳句女子!俳句男子!「チームde俳句連作」』参加ルポ 平田彩乃
『文の京WS来たれ俳句女子!俳句男子!「チームde俳句連作」』参加ルポ平田彩乃『文の京WS来たれ俳句女子!俳句男子!「チームde俳句連作」』(二〇一六・一〇・九実施) 佐藤文香×東大俳句会(青木ともじ)in...
View Article夏をがしっと 近見晴海
夏をがしっと近見晴海夏がよくわからない。あんなにまっすぐで、あんなにもひねくれていて。まぶしくて暑いのが果てしなく続きそうに思えるのに、信じられないほどあっという間だ。初夏のきらめきへ駆けだして、夏半ばのまばゆさに佇んで、晩夏になると口をつぐんでしまう。数直線の12か月の、その夏の部分にいる間だけ夏の部分はおおきく緩くたわんでいってそれで抜け出せなくなって、なのに振り返った時にはもう戻れない直線なの...
View Article『近現代詩歌』と僕の好きな五句 紆夜曲雪
『近現代詩歌』と僕の好きな五句 紆夜曲雪 河出書房新社から池澤夏樹個人編集の日本文学全集『近現代詩歌』が刊行された。明治から現代までの詩・短歌・俳句を集めたアンソロジーで、個人編集とあるが俳句の選は小澤實が担当している(詩の選は池澤夏樹、短歌の選は穂村弘)。こういう文学全集に俳句のアンソロジーが付されたのは一体いつ振りのことなのかと思って少し調べたところ、直近は『昭和文学全集35...
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