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【八田木枯の一句】秋夕やけ西のあはれを照らすなり  西原天気

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【八田木枯の一句】
秋夕やけ西のあはれを照らすなり

西原天気


『汗馬楽鈔』(1988年)より。

秋夕やけ西のあはれを照らすなり  八田木枯

伊勢に生まれ育ち、成年後、長く、東京に暮らした木枯にとって、西は、故郷の方角。夕焼けを見るたび、故郷を、過去を思うのは、いわば当然の、自然なことであったでしょう。

「あはれ」は、いうまでもありませんが、情趣といった意味。


ここから余談。

あるとき、木枯さんが、自分の俳句は「西」の俳句だ、「東」とは違う、とおっしゃったことがあります。プライベートな会話でした。宣言といったものではありません。つぶやきのようなもの。

「東の俳句」とは何をさすのか、無知な私がたずねると、たとえば寒雷系との答え。

そのとき、西のほうで生まれ育った私は、自分も「西」だ、「西」に連なりたいと、ひとり思ったのでした。



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