【週俳6月の俳句を読む】一期の夢 矢野錆助
【週俳6月の俳句を読む】一期の夢矢野錆助蜃氣樓臭きを奥の間に通す 閒村俊一古の人々が大蛤の吐き出す瘴気にあてられて、すっかりラリった眼前に、煌びやかな娼婦楼を見上げるが如く、春の愁いを含んだ気が閨まで静かに沁み渡る。いささか淫靡な香りのする物語の始まり。うぐひすや天神下にひとり酌む...
View Article新幹線に乗る直前にとりあえず手軽に買うことの出来る無難な東京土産 澤田和弥句集『革命前夜』の一句 山田露結
新幹線に乗る直前にとりあえず手軽に買うことの出来る無難な東京土産澤田和弥句集『革命前夜』の一句山田露結東京に見捨てられたる日のバナナ...
View Article【本の紹介】ほんとに可笑しい 岩崎哲也著『都市の樹木433』 三島ゆかり
【本の紹介】ほんとに可笑しい岩崎哲也著『都市の樹木433』三島ゆかりamazonのカストマーレビューが実に興味をそそるものだったので買ったのだが、ほんとに可笑しい。なんなのだ、このポケット図鑑。ヒメリンゴ:初冬には深紅紫色に熟し、まずい。鳥たちもすぐ食べず厳冬期まで残し、ほかに実がなくなるころに食べる。それでもまだ、まずい。ザクロ:果実が熟して割れた様子は、見てはいけないものを見たような雰囲気があり...
View Article自由律俳句を読む 2 障子 馬場古戸暢
自由律俳句を読む 2障子馬場古戸暢第一回の最後に放哉の「障子あけて置く海も暮れ切る」を紹介したが、小豆島の南郷庵に住んでいた放哉には、障子にまつわる句が多い。障子が一枚ふうわりたほれた...
View Article後衛の魅力 澤田和弥句集『革命前夜』を読む 西原天気
後衛の魅力澤田和弥句集『革命前夜』の一句西原天気いったいなにがあったというのでしょう。 とびおりてしまひたき夜のソーダ水...
View Article10句作品テキスト 小野富美子 亜流
小野富美子 亜流冷酒や亜流に生きて心地好しポケットに入らぬポケット版薄暑麦秋や研ぎ加減見る指の腹色深くなるまで雨の額の花とりあえず墓はあります梅漬ける地球儀の海膨らんでくる炎暑白桃を啜り過去へと裏返る顳顬に棲み付く頭痛夏百日炎天に生臭き身を持ち歩く麦酒飲むまた王冠を叩く癖
View Article10句作品テキスト 岸本尚毅 ちよび髭
岸本尚毅 ちよび髭雲白く夕焼終る頃と見し思念なく鬼灯市の辻に立ちホ句つくる我に鬼灯買へと言ふ生きてゐる鬼灯青く又赤く先尖る青鬼灯もいとほしや我の目に映る鬼灯市を去るかき氷売の煙草のうすげむりちよび髭の浴衣の男見れば若し風鈴の硝子の玉の鈍き音わが肘を伝ひ歩める蠅涼し●
View Article10句作品 岸本尚毅 ちよび髭
画像をクリックすると大きくなります。週刊俳句 第325号 2013-7-14岸本尚毅 ちよび髭クリックすると大きくなりますテキストはこちら第325号の表紙に戻る
View Article10句作品 小野富美子 亜流
画像をクリックすると大きくなります。週刊俳句 第325号 2013-7-14小野富美子 亜流クリックすると大きくなりますテキストはこちら第325号の表紙に戻る
View Article週刊俳句 第325号 2013年7月14日
第325号2013年7月14日■2012 落選展 Salon des Refusés ≫読む■第3回 週刊俳句10句競作結果発表!! ≫読む■小野富美子 亜流 10句 ≫読む■岸本尚毅 ちよび髭 10句 ≫読む…………………………………………………………【句集を読む】■新幹線に乗る直前にとりあえず手軽に買うことの出来る無難な東京土産澤田和弥句集『革命前夜』の一句……山田露結...
View Article後記+プロフィール 326
後記 ● 上田信治10句作品のぺぺ女さんは、日経アソシエの「飛び込め!カワズくん」で、俳句をつくり始めた方(リンク先では、千野、堀本両氏による、投句者ぺぺ女さんの印象が、語られています)。藤幹子さんの10句とあわせて、なんとなくこういう週になりました。お楽しみ下さい!...
View Article【週俳6月の俳句を読む】とらやの水羊羹ほどの幸せ 馬場龍吉
【週俳6月の俳句を読む】とらやの水羊羹ほどの幸せ馬場龍吉ことしの夏も「夏」というくらいだからやはり暑い。暑さと寒さは皆そうだろうがとくに嫌い。冷房の無い世界は考えられない。そうすると暑い俳句は書けなくなるのだが。そういうときは水羊羹でも掬って週刊俳句を読むに限る。覺めぎはのかうかうとしろはちすのしろ 閒村俊一ちなみに「かうかう」の正しい意味を探すのに検索してみると「カウカウ...
View Article第132回現代俳句協会青年部勉強会のお知らせ 俳句ヴァーサス第2回 視覚vs聴覚
第132回現代俳句協会青年部勉強会俳句ヴァーサス第2回 視覚vs聴覚俳句に関する二項の対で対論する新企画の第二回。今回のテーマは「視覚vs聴覚」です。わたしたちはいま、従来のメディアをはるかに超え、インターネット、 なかでも、いわゆるソーシャルメディアによって、膨大な視覚・聴覚情報に囲まれています。現代に置いて明らかに突出したこの二つの感覚について、あらためて議論の俎上にのせてみたいと思います。視覚...
View Article林田紀音夫全句集拾読 275 野口 裕
林田紀音夫全句集拾読275野口 裕蔦青く大声あげて子を叱る平成三年、未発表句。紀音夫には、はなはだ珍しい句。未発表句でないと出てこない。当時、紀音夫の子は娘と呼んだ方がふさわしい時期にあたる。実体験ではないだろう。そんな風景を見かけて、子が小さい頃の記憶が甦ったと取る方が自然。叱る側、叱られる側双方を象徴して蔦の青さが眩しい。...
View Article自由律俳句を読む 3 母 (一) 馬場古戸暢
自由律俳句を読む 3母 (一)馬場古戸暢母を詠んだ句には、共感しやすい気がする。自身がマザコンというわけではなかろうが。母が縮んで老婆 なかぎりせいじ「縮んで」という表現のためか滑稽さを感じてしまうが、詠まれている内容は母の老いであり、その結果小さくなってしまうという事実そのものである。その現実を、淡々と必要最小限の言葉で詠んでいる。母のふくらみに眠る...
View Article朝の爽波76 小川春休
小川春休76さて、今回は第四句集『一筆』の「昭和六十一年」から。今回鑑賞した句は昭和六十一年の新年から寒の頃の句。昭和六十一年から「青」に「枚方から」と題した実作体験に基づく所感の連載を始めています(連載開始は「青」二月号から)。昭和六十年十二月発行の「俳句年鑑」には「俳句スポーツ説」を発表しており、爽波の重要な俳論がこの時期に集中しています。一枚の歌留多の砂に埋れんと...
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