岸本尚毅 ちよび髭
雲白く夕焼終る頃と見し
思念なく鬼灯市の辻に立ち
ホ句つくる我に鬼灯買へと言ふ
生きてゐる鬼灯青く又赤く
先尖る青鬼灯もいとほしや
我の目に映る鬼灯市を去る
かき氷売の煙草のうすげむり
ちよび髭の浴衣の男見れば若し
風鈴の硝子の玉の鈍き音
わが肘を伝ひ歩める蠅涼し
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雲白く夕焼終る頃と見し
思念なく鬼灯市の辻に立ち
ホ句つくる我に鬼灯買へと言ふ
生きてゐる鬼灯青く又赤く
先尖る青鬼灯もいとほしや
我の目に映る鬼灯市を去る
かき氷売の煙草のうすげむり
ちよび髭の浴衣の男見れば若し
風鈴の硝子の玉の鈍き音
わが肘を伝ひ歩める蠅涼し
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