週刊俳句 第560号 2018年1月14日
第560号2018年1月14日≫2017角川俳句賞「落選展」■塩見恵介 あしたの作り方 10句 ≫読む……………………………………………【週俳12月の俳句を読む】■瀬戸正洋 全句雑感Ⅱ ≫読む■松下カロ 何が聞こえるのか 何が見えるのか 何に触れるのか ≫読む■新年詠以後の世界 ≫読む【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】■第33回 ディオンヌ・ワーウィック「恋よ、さようなら」...
View Article【週俳12月の俳句を読む】俳句の耐荷重 茅根知子
【週俳12月の俳句を読む】俳句の耐荷重茅根知子「俳句は作者の手を離れたら、読み手のもの=自由に鑑賞してよい」。これは、亡くなった師から教えてもらった言葉である。とはいえ、俳句は読み手の勝手な鑑賞や妄想に、いったいどれくらい耐えられるのだろう。勘忍と言うて色足袋脱ぎにけり...
View Article【週俳12月の俳句を読む】待春の空 小林すみれ
【週俳12月の俳句を読む】待春の空小林すみれゆふぐれの茶の花に屈んでをりぬ 岸本由香茶の花はひっそりと咲く。最近では気候の変化で早い時期から咲いている。うっすらと香る、葉に隠れるように咲く白くて可憐な花だ。日の傾いた茶の木に屈んでいるのは誰だろう。夕闇にまぎれてしまいそうな少し淋し気な少女の姿が浮かんできた。餅を搗かなければ話してあげない...
View Article【週俳12月の俳句を読む】鯨といういきもの 三宅桃子
【週俳12月の俳句を読む】鯨といういきもの三宅桃子なんだろう、くじら。鯨というものは生き物を超越しているような、感じがある。宇宙といったら鼻につくが、生態系をまるごと飲み込んでしまっているような。雌雄を超えた、中性的な感じもある。はっきり、下手に、なににも、分類されない。言っていそうで、なにも言わないニュアンスもある。そんな鯨の句を、私も、幾度となく詠んでいる。週俳12月の福田若之「パサージュの鯨」...
View Article【週俳12月の俳句を読む】心に響く 竹内宗一郎
【週俳12月の俳句を読む】心に響く竹内宗一郎心に響く俳句には、個性がある。個性の所在は、対象となる「もの」だったり、「こと」だったり、テーマだったり、切り取り方だったり、表現方法だったり。多くの人が抱いている「俳句」に対する先入観、思い込み、間違った一般的な情緒を打ち破り、作品が個性をもって読み手から詩としての価値を得たとき、俳句は作品として普遍性を持つことになる。■松井真吾...
View Article【週俳12月の俳句を読む】少し濡れていて 小池康生
【週俳12月の俳句を読む】少し濡れていて小池康生堪忍と言ふて色足袋脱ぎにけり 岸本由香京都の女性だろう。上がり框で足袋を脱ぎながら「堪忍」と呟くワンシーン。遅れてきたことを謝っているのか。雨や雪で足袋を濡らし、訪問するなりいきなり脱ぐことを謝っているのか。いずれにしろ親しさしさが伝わりドラマを感じさせるワンシーン。劇的なことは何も起こっていないのだが、そそる。スリッパの重ね連なる雪催...
View Article10句作品 橋本小たか 残す音
画像をクリックすると大きくなります残す音 橋本小たか寝ながらに笑ふ泰山木の花葛の花このかさぶたはいつの傷とんばうの向き変へるたび残す音冬眠や昔の受話器重かりきフルートは三人ゐたり浮寝鳥オリオンやテトラポットに波の音虹を吐くことも忘れぬ勇魚かなみづうみに聖夜の橇を休めをり呼鈴の生きてをるなり冬館春はあけぼの鸚哥の小さくまりにけり
View Article週刊俳句 第561号 2018年1月21日
第561号2018年1月21日≫2017角川俳句賞「落選展」■橋本小たか 残す音 10句 ≫読む……………………………………………■時評のようなもの3 福田若之『自生地』……上田信治 ≫読む【週俳12月の俳句を読む】■小池康生 少し濡れていて ≫読む■竹内宗一郎 心に響く ≫読む■三宅桃子 鯨といういきもの ≫読む■小林すみれ 待春の空 ≫読む■茅根知子 俳句の耐荷重 ≫読む■堺谷真人 十人十句...
View Article〔名歌にしたい無名歌〕冷たい古郷への悪口も気の薬になる怒りの一茶坊 robin d. gill(敬愚)
〔名歌にしたい無名歌〕冷たい古郷への悪口も気の薬になる怒りの一茶坊robin d. gill(敬愚)書物も残らず棒にふる郷の人の紙魚/\憎き面哉 一茶How they do bug me!(奴らなんと五月蝿い)All books must go: that is their wish –in my hometown, capital to...
View Article時評のようなもの 3 いちばんポップでシリアスな彼 福田若之『自生地』……上田信治
時評のようなもの 3いちばんポップでシリアスな彼 福田若之『自生地』上田信治『びいぐる...
View Article後記+プロフィール 第561号
後記 ◆ 上田信治10句作品の橋本小たかさんは、武藤紀子さんの「円座」所属。武藤さんから、小たかさんは「あたらしい人」なので、山口昭男さんに「おあづけして、指導してもらっている」という話をうかがい、武藤さんと山口さんに、そういう信頼関係があるということに、自分は、ちょっと感動しました。注目の書き手です。 ●福田若之句集『自生地』には、「信治さん」が出てくる句があります(233p)。え、自分のこと?...
View Article■イベントお知らせ×2 「上田信治句集『リボン』をほどく」@渋谷 北大路翼× 上田信治「祈る俳句」@梅田
■イベントお知らせ×2「上田信治句集『リボン』をほどく」2月17日(土)@渋谷http://aiaccare.blogspot.jp/2018/01/217.html?spref=tw上田信治第一句集『リボン』を、おもしろく読む会をやります。 日時;2018年2月17日(土) 18:30~20:30(18:00開場)場所;渋谷...
View Article中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 第34回 井上陽水「いつのまにか少女は」
中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜第34回 井上陽水「いつのまにか少女は」憲武●生まれて初めて買ったレコードということなんですけどね、ぼくは、買物ついでに親に買ってもらったというものを除いて、自分でレコード屋に行って買ったっていうのは、「陽水ライブ...
View Article〔今週号の表紙〕第562号 飲み屋街 西原天気
〔今週号の表紙〕第562号 飲み屋街西原天気聖なるものは、上に。例えば神社はたいてい、のぼった場所にある(自宅近くの谷保天満宮はめずらしく道からくだった場所にある。唯一とも聞いたが、真偽は定かでない)。俗なるものは、下に。道から降りていく、この飲み屋街。妙にそそりませんか? 上戸にも下戸にも、なんだか吸い込まれていく感じがあります。●週俳ではトップ写真を募集しています。詳細は≫こちら
View Article中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 第35回 クリトリック・リス「バンドマンの女」
中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜第35回 クリトリック・リス「バンドマンの女」天気●去年後半ですかね、YouTubeで偶然見つけたんですが。憲武●偶然ですね。僕も去年見ました。微妙なネーミングだなと思って。天気●食えないけど夢を追い続けるバンドマンとその恋人の話。岡野泰輔さんに...
View Article【句集を読む】のうのうと暮らす 野口裕句集『のほほんと』の一句 西原天気
【句集を読む】のうのうと暮らす野口裕句集『のほほんと』の一句西原天気著者略歴には「俳句」とも「川柳」ともなく、「五七五狂い」とある。のうのうと夜業半ばに髭当たる...
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