【週俳8月の俳句を読む】こころの距離 金山桜子
【週俳8月の俳句を読む】こころの距離金山桜子ヒロシマへはずっと行きたいと思っている。ヒロシマは距離的にはそう遠くないけれど、何か目に見えない壁のようなものがあって、こころの距離が遠かった。樫本由貴さんの「緑陰」30句より原爆はほんたう花水木の陰る水馬やみづのまだらを被爆以後原爆ドームに楽止まぬ日や蚊に刺され原爆を見し人氷菓吸うてをり原爆ドームの奥を撮る子や苔の花のど仏うすく苔生す樹なりけり原爆以後こ...
View Article【週俳8月の俳句を読む】喩喩しい 大塚凱
【週俳8月の俳句を読む】喩喩しい大塚凱毎年のことのように思うが、八月は喩が濃い。殊に喩を感じたのは三宅桃子さんの作品「獏になり」。詩の言語そのものがあらゆる喩である、という捉え方はできるが、もっと単純な意味の、技巧としての喩で構成された10句である。喩に言葉を尽くしすぎるのは滑稽というか、逆説的、皮肉なことに感じられるので、簡潔に。 爪を切るあいだ背中にある泉...
View Article10句作品 天象儀 伊藤蕃果
画像をクリックすると大きくなります天象儀 伊藤蕃果薔薇園を遠くに眺めくるしまず香水の文字の中まで入り込むごきぶりやこの夜に一寸海まで感嘆の度に傾く舟遊び天道虫星あざやかに朽ちてをりシャワー浴ぶ怒声まみれの体なる茅舎忌の天象儀から光の粒逃げるべき場所など無くて紙魚走る見世物のごとく売らるるデラウエア秋の蟬涙ここまで落ちてこい●
View Article週刊俳句 第544号 2017年9月24日
第544号2017年9月24日■伊藤蕃果 天象儀 10句 ≫読む……………………………………………■BLな俳句第15回 ……関悦史≫読む■福田若之『自生地』刊行記念インタビュー3.怪獣・色彩・低解像度聞き手:小津夜景 ≫読む■成分表……上田信治75. 花びら餅 ≫読む■西遠牛乳3. 太陰暦から来た男……牟礼鯨 ≫読む【週俳8月の俳句を読む】大塚凱 喩喩しい ≫読む金山桜子 こころの距離 ≫読む...
View Article後記+プロフィール 第545号
後記 ● 村田 篠(Under Construction)no.545/2017-10-1 profile■牟礼鯨 むれ・くぢら1984年静岡県熱海市生まれ、東京都育ち。2014年に「花鳥」入会、2015年から「俳句と超短編」に参加、2017年に「短詩会風翳」所属。ブログ「夕立鯨油」を運営。■彌榮浩樹...
View Article『子規に学ぶ俳句365日』文庫化記念リンク集
『子規に学ぶ俳句365日』文庫化記念リンク集 ≫橋本 直:俳句の自然 子規への遡行≫松尾清隆:あいまいで不都合な「自然」≫島田牙城:「忌」とは何か≫ロビン・ギル:金玉の寂しさ 或いは子規居士の睾丸供養≫関悦史:写生について≫関悦史:子規の「写生」と兜太の「造型」の相同性についてツァラとレーニンに訊く≫竹中宏:写生不快≫山口優夢:写生 「超える」ための方法...
View Article中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 第19回 ブロッサム・ディアリー「ドゥードゥリング・ソング」
中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜第19回 ブロッサム・ディアリー「ドゥードゥリング・ソング」天気●インターネットって便利ですね。例えば、ラジオやコーヒショップで曲が流れて、「おっ、いい曲。なんていう曲だろう」ってなとき、歌詞の一部分でも憶えておけば、あとから検索して、曲名にたどり着ける。憲武●そうですね。その検索の手間がもどかしくて、僕は SHAZAM...
View Article肉化するダコツ① 蝉落ちて鼻つく秋の地べたかな 彌榮浩樹
肉化するダコツ①蟬落ちて鼻つく秋の地べたかな彌榮浩樹俳句について大切なことは、すべて蛇笏に教わった。とは、かなり大袈裟な言い方だが、まったくの虚言でもない。二十年ほど前のある秋の日の午後、ふと「俳句を作ってみようかな」と思い立った。仕事の合間にさっそく書店へ寄り、何冊か吟味した後に手に取ったのが、『現代の俳句』(講談社学術文庫)。巻末(皆吉司)から巻頭(虚子)へと、ページを繰りながら、気に入った句に...
View Article10句作品 柿木村 牟礼鯨
画像をクリックすると大きくなります柿木村 牟礼 鯨くましでの実や雲を塗る建築家青空の青が剝がれる烏瓜虫の音は矯正器具を舐めもどす三日月は塞ぎとどむる響きかな天の川乳酸菌を手懐けて落鮎の瞳をほどけゆく星座星香る石見国の稲穂かな谷深し夜の名残りの曼珠沙華稲掛や婚活パーティーの轍秋声這ふ落人谷の石積を●
View Article週刊俳句 第545号 2017年10月1日
第545号2017年10月1日■牟礼 鯨 柿木村 10句 ≫読む……………………………………………■肉化するダコツ①蟬落ちて鼻つく秋の地べたかな……彌榮浩樹 ≫読む■時評のようなもの2 「分からない」俳句田島健一『ただならぬぽ』を中心に……上田信治 ≫読む■西遠牛乳4. マラカラニアン宮殿……牟礼鯨 ≫読む■『子規に学ぶ俳句365日』文庫化記念リンク集...
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