週刊俳句 第486号 2016年8月14日
第486号2016年8月14日■2015「角川俳句賞」落選展 ≫見る■2014「石田波郷賞」落選展 ≫見る■加田由美 引き潮 10句 ≫読む■鷲巣正徳 ぽこと 10句 ≫読む……………………………………………【句集を読む】■140億年の壮大スケールで描く俳諧的ちまちま世界マイマイ『宇宙開闢以降』を読む……西原天気 ≫読む■一日の次の一日池田澄子『思ってます』の2句……西原天気...
View Article【週俳7月の俳句川柳その他を読む】涼しさに満ちている 近恵
【週俳7月の俳句川柳その他を読む】涼しさに満ちている近 恵今年の夏は、いや既に秋だけど、とにかく暑い。駅から職場まで約10分、ただ歩くだけでまるでサウナに入ったかのように汗が噴き出してくる。更に更年期が追い打ちをかけ、ちょこっと集中したり焦ったりしただけでいきなりの滝汗である。私の夏は汗に満ちている。みづうみに向く籐椅子の遺品めき...
View Article後記+プロフィール486
後記 ● 上田信治先週というか先々週の週末、めちゃくちゃ暑かったのおぼえてますか。あれから、朝夕すずしいですね。これは、牙城さん理論によると当然のことなのです。「俳句」2012年8月号「緊急座談会」読後緊急報告「輸入品の二十四節気とはずれがある」は間違ひだ!(「里」2012年3月号より小誌2012/8/19号に転載)...
View Articleあるいはねびめく 田島健一
クリックすると大きくなりますあるいはねびめく 田島健一あいさすと色鳥うすびへるしんきおすかりの颱風くびれひただようかかりさるともだちいんび秋まつり蝦蔓にたつみはるけくゆびみつるいることのまびわりかなし鬼やんま菊月のねびゆくけしきうぞくまりうしろあびひうらにおいてくる瓢
View Articleひかる絃 宮本佳世乃
クリックすると大きくなりますひかる絃 宮本佳世乃くらげ底につき心臓のはやさ玉虫の背中に色や本閉づる秋の水脚の間が色あせて耳は目を追いかけてゐる川に月かなかなと油絵の具の混ざりたる市場には林檎の赤の透けてをりひかる絃肺胞がひらきゆく霧
View Articletv 鴇田智哉
クリックすると大きくなりますtv 鴇田智哉蜩は胴がブラウン管である透かしみる羊に青いされかうべ揚羽蝶からわらわらと紐が出て指が画をぐるぐるにして飛ばす蛇めりめりとしたるパラソル状の祖父滝だとは知らない穴を見てをりぬかなかなのこゑの数だけある画像
View Articleバックナンバー 福田若之
クリックすると大きくなりますバックナンバー 福田若之『週刊俳句』オルガンまるごとプロデュース号 テーマ詠「オルガン」タイムマシンにたくさんの管風が鳴る『オルガン』6号 テーマ詠「ゲーム」冷蔵庫→孤独→クローン、でおしまい『オルガン』5号 テーマ詠「流れ」さかのぼるひばりひきちぎれるかひかり『オルガン』4号 テーマ詠「ざらつき」霜砂漠濁点のかたわれがゆく『オルガン』3号...
View Article秋とオルガン 生駒大祐
クリックすると大きくなります秋とオルガン 生駒大祐覚えずのはかなさの秋来りけり秋めくことオルガンの鳴り止まぬこと見せ消ちの秋をとどめて深吉野はオルガンのペダルなりけり秋の声よくぞ立つ秋も日暮の干拓地仲良しの秋とオルガン何話す水煙秋の言葉に立ちのぼる
View Article私も答えてみました 寺澤一雄
私も答えてみました寺澤一雄宮本佳世乃さんから、「あなたとオルガン」という題で原稿依頼が来た時、まず創刊号から6号まで揃っていることを確認しました。メンバーの方々とはどこかで句会をやったこともあり、「オルガン」は馴染みの同人誌という感じでしたが、熱心な読者でもなく、いつかはじっくり読まねばと思っていましたので、良い機会でした。...
View Article『オルガン』とBL俳句 松本てふこ
『オルガン』とBL俳句松本てふこ現実と俳句のかかわりで考えると、BL俳句をやっている人たちにとって、俳句が現実である必要はたぶんない。BLっていうのは積極的にデフォルメされた世界であって、たとえば肉体の汗の匂いみたいな話ではない。作られた枠内の世界で楽しければいいじゃないかという感じじゃないかな。俳句ってすごく便利だから、俳句のシステムのなかで書けばいくらでも書けるし、そもそも俳句の良し悪しの基準自...
View Articleオルガンは書いている 宮﨑莉々香
オルガンは書いている宮﨑莉々香人はものごとを考える時、分類を行いながら、事がらを整理していく。分類すること自体はとても自然の行為である。だから、わたしは「石田郷子ライン」とか、「オルガン調」という言葉がインターネットの海を飛び回ることも、とても普通のことのように思っているし、そのような分類をすることが悪いことであるとも断言しない。しかし、括る見方にこだわりすぎて、ひとり、ひとり、のかけがえのなさが薄...
View Article「オルガン」1号そして6号 小久保佳世子
「オルガン」1号そして6号小久保佳世子 2015年の春、宮本佳世乃さんから出来立てほやほやの「オルガン」1号を手渡され、まだ深く読んではいなかった翌日、オルガンという言葉に誘われて次のような句が出来たことを憶えています。 オルガンにずれてブランコ揺れてゐる 佳世子 「オルガン」は明るくて遠近の広がりもある良いネーミングだと思いました。...
View Article歴史と熱気 青木亮人
歴史と熱気青木亮人 「オルガン」を読むと、思い出す逸話がある。『平畑静塔対談俳句史』(1990)の一節で、平畑は山口誓子の第一句集『凍港』(1932)の印象を聞かれた際、次のように答えた。楠本 「凍港」が出たとき、どうでしたか。あれを受けとられた反響というものは。平畑...
View Articleゆうべのエートス 中嶋憲武
ゆうべのエートス中嶋憲武雑踏に紛れてしまうと、改めて俺の馬鹿さ加減を思い知らされた。上手くやったつもりが、全くそうではなかった。店長に叱られるのは、いつもの事だから、まあいいとして、よくはないがこの場合は、まあいいとして、年下のバイト長に注意されたのは、カチンと来た。こんな街じゅう、きらびやかな猥雑さに満ちた、歓喜しているかのような夜によ。やってられない。ビールでも飲みたい気分だ。だが金はない。...
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