$ 0 0 2016「石田波郷新人賞」落選展●4. 光 新藤生糸冬暁の始まりラヂオブースより手を繋ぐやうに聖樹に足す灯湯冷めしてちひさき声とならざりき目の前にコツプかぢきは沖にゐる対岸の町にサーカス冬の靄寒の月接骨院にある足湯踏切で途切れる橇の行方かなあをあをと鍋沸き立つてくぢら汁炊き出しに持ち寄る水や春寒し畦焼くや巣穴へ入りゆく煙逆立ちに晒す足裏風光る流氷の裏に明るき水面あり北窓を開くや海のある下宿雛しまふ和紙それぞれに肩の形かげろふや壁西側に鳥の群笑ふたび拭ひし涙しやぼん玉夏兆す植物園に増ゆる池ほうたるのやうやう水を吸ふ命風鈴の海の映らぬ日々となり背泳ぎに眩しき夜の水面かな●