$ 0 0 2016「石田波郷新人賞」落選展●3. 心にも 黒岩徳将らふそくに屏風の白のとほさかな虻おちてゆく縁側の履きものに椀を置き浅利の殻の触れ合へり目配せの後の鶯笛軽し早蕨や腹を大きく鳩の飛びショー終へて海豹に手のおきどころ春の川煙草はまはりつつ流れ春コート落ちたる夜行バスの床ボトルシップ初夏の手をはなれけり花栗や子どものくせにかなしさう踏む音の石から草へ蛍狩葉にとほき茎の赤らむ額の花蚊柱の揉みたる夕のひかりかな河鹿鳴く比叡に黒く薄き雲風鈴やタオルケットに光透け地に触れさうに葉の先を蝸牛心にも呼鈴のあり花茗荷走り根の苔に尽きたる蜥蜴かなラ・フランス背中合はせの絵描きたちビル高く高し狗尾草を蹴る●