自由律俳句を読む 94 高沢坡柳〔2〕 馬場古戸暢
自由律俳句を読む 94高沢坡柳〔2〕馬場古戸暢前回に引き続き、高沢坡柳句を鑑賞する。果せぬ思いあり石女着飾りて鳳仙花 高沢坡柳石女という単語を未だ日常生活できいたことがないが、昔は普通に用いていたのかどうか気になっている。彼女たちにもいろいろな苦悩があったことだろうか。藤の花落ちる岩水溜りに春のこり...
View Article〔ハイクふぃくしょん〕南方系 中嶋憲武
〔ハイクふぃくしょん〕南方系中嶋憲武書き下ろし朱夏の強い日差しが、花柄のカーテンを透かして素足に照りつけている。静かな湖畔の静かな湖畔のカッコーカッコーと呟きながら、わたしは半身を起こした。目 は開かない。やっと薄目して時計をみると、十一時を回っていた。夫は丸いお腹を上下させて寝入っている。揺すってみても起きない。くすぐってみたら、太い...
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【石田波郷新人賞落選展を読む】思慮深い十二作品のためのアクチュアルな十二章〈11〉ことばの向こうの世界があってもなくても田島健一≫2014「石田波郷賞」落選展11.無声映画B(平岩壮悟)言うまでもなく俳句は「ことば」だ。だとしたら、その「ことば」でできた俳句が指し示している「実体」はどこにあるのだろうか。いわゆる「写生」は、つまり「対象」を見て書くことで俳句を「対象」に結び付けるのだが、では俳句はす...
View Article【句集を読む】あなたへの手紙 佐藤文香『君に目があり見開かれ』を読む 生駒大祐
【句集を読む】あなたへの手紙佐藤文香『君に目があり見開かれ』を読む 生駒大祐紫陽花は萼でそれらは言葉なり...
View Article名句に学び無し、 なんだこりゃこそ学びの宝庫(5) 今井聖
名句に学び無し、なんだこりゃこそ学びの宝庫 (5)今井 聖 「街」99号より転載冬晴れのとある駅より印度人 飯田龍太『涼夜』(1977)なんだこりゃ。...
View Article【澤田和弥さん追悼】 ごめんね 上田信治
澤田和弥さん追悼ごめんね上田信治水泳帽よりちくちくと毛が飛び出す 2007毛深い人だった。手の甲や二の腕に手強い毛が生えていて、張りのある胸乳やお腹には、それどころではなく黒い毛が渦巻いているという噂だった。眉毛もまつげも濃いのだった。濃いまつげに囲まれた瞳はいつもうるんでいるのだった。太宰忌やびよんびよんとホッピング...
View Article【澤田和弥さん追悼】 澤田さんのこと 松本てふこ
澤田和弥さん追悼澤田さんのこと松本てふこ澤田さんの作品というか、句集に関して一昨年に文章を書いた。私が彼の句に対して思っていることはここであらかた書けてしまった気もするので、リンクを貼っておく小さな革命としての俳句~澤田和弥句集『革命前夜』https://note.mu/tefcomatsumoto/n/n2fc68a9b5e95この文章では、ただただぼんやり澤田さんとの思い出を振り返っていこうと思...
View Article【リンク集】週俳で読む「澤田和弥」
【リンク集】週俳で読む「澤田和弥」澤田和弥 妻がをり 50句 2007-10-28http://weekly-haiku.blogspot.jp/2007/10/blog-post_28.html澤田和弥 一塊の肉 50句 2008-10-26http://weekly-haiku.blogspot.jp/2008/10/blog-post_8267.html澤田和弥 教養 50句...
View Article週刊俳句 第422号 2015年5月24日
第422号2015年5月24日■2014「角川俳句賞」落選展 ≫見る■2014「石田波郷賞」落選展 ≫見る澤田和弥さん追悼(1)リンク集■週俳で読む「澤田和弥」 ≫読む追悼文■澤田さんのこと ……松本てふこ ≫読む■和弥くんが亡くなった ……金子 敦 ≫読む■ごめんね ……上田信治...
View Article10句作品テクスト 村上鞆彦 ぐるり
村上鞆彦 ぐるり実桜や風過ぎてよりまた歩む葉桜の蔭を男の顔が来る雲は雲の意志もて白し夏燕方丈のぐるりの縁の緑雨かな修司より若き享年青嵐夏蝶の踏みたる花のしづみけりあんみつの匙なまぬるくくはへけり筒鳥やまた一塊の霧に遭ふ電車来るまでのひとりの青嶺かな走り出て子どもを叱る裸足かな
View Article10句作品 村上鞆彦 ぐるり
画像をクリックすると大きくなります。週刊俳句 第423号 2015-5-31村上鞆彦 ぐるりクリックすると大きくなりますテキストはこちら第423号の表紙に戻る
View Article10句作品テクスト 下坂速穂 水脈
下坂速穂 水脈雨粒の白や緑や更衣帯の上に腹を垂らして町涼み白日傘古地図の海のあたりまで眺めては遥かに夏の心かな一羽一羽鷺と覚えし南風水といふ水にさざなみ梅雨晴間子規の風吹く六月の木よ草よ籐椅子に十七歳となりて猫蜻蛉の生れて水に還るまで月満ちてゆき欠けてゆく安居かな
View Article10句作品 下坂速穂 水脈
画像をクリックすると大きくなります。週刊俳句 第423号 2015-5-31下坂速穂 水脈クリックすると大きくなりますテキストはこちら第423号の表紙に戻る
View Article〔今週号の表紙〕 第423号 見たものと写ったもの 西原天気
〔今週号の表紙〕第423号 見たものと写ったもの西原天気カメラというのは、見たものが見たようにはなかなか写りません。旅先などで「おお!...
View Article【澤田和弥さん追悼】わたしの澤田くん 堀田季何
澤田和弥さん追悼わたしの澤田くん堀田季何澤田和弥くんについて追悼文を書けという。通夜や葬儀でのスピーチやお悔やみ状で使われる、きちんとした類の文章はわたしには書けない。元々駄文しか書けないし、散文が大の苦手だからである(正式な追悼文では「元々」というような重ね言葉は禁句であるらしい)。そのせいもあって原稿もよく落としてしまい、数少ない信用もついでに落としているわたし。それでもわたしに何でお鉢が回って...
View Article【澤田和弥さん追悼】澤田さんありがとう 佐藤文香
澤田和弥さん追悼澤田さんありがとう佐藤文香1澤田さんは早大俳研の先輩だ。1日で100句つくろうと言い出したのはわたしではなかったのだが、たぶんわたしの東中野のマンションで、たしか目白の女子学生会館を出てすぐだったと思うから大学3年生のはじめごろだろう、何人か集まって俳句をつくるということになり、でも誰がいたかはあまり覚えていなくて、ただし澤田さんが来たのは覚えている。なぜ覚えているかといえば、その夜...
View Article自由律俳句を読む 95 さはらこあめ〔1〕 馬場古戸暢
自由律俳句を読む 95さはらこあめ〔1〕馬場古戸暢さはらこあめ(1973-)は、結社未所属の自由律俳人。以下では、自由律俳句誌『蘭鋳』(雲庵、2014)より数句を選んで鑑賞したい。だれかたすけてにんげんにうまれた さはらこあめにんげんにうまれた以上、もろもろの苦悩から逃れることはできない。事態を認識できないにんげん以外の何かにうまれた方が、楽な気はする。母を憎んで同じ顔になっていた...
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