週刊俳句 第403号 1月11日
第403号2015年1月11日■2014「角川俳句賞」落選展 ≫見る■2014「石田波郷賞」落選展 ≫見る【2014落選展を読む】■3. みんなおなじで、みんないい?……依光陽子 ≫読む【川柳を読む】■小池正博に出逢うセーレン・オービエ・キルケゴール、あるいは二人(+1+1+1+n+…)でする草刈り……柳本々々 ≫読む■自由律俳句を読む 75富永鳩山〔1〕……馬場古戸暢 ≫読む■連載...
View Article【鴇田智哉をよむ5】記号、そのなごりの糸を 小津夜景
【鴇田智哉をよむ5】記号、そのなごりの糸を小津夜景紀貫之の話を枕に。貫之といえば仮名文化を立ち上げるとともに、時代を越えたその代表作まで自分で創発してしまった才人。加えてエクリチュールの内側にパロールの亡霊を招き入れたとしか言いようのない、たいへん魅力的な字を書く男です。さらには彼個人の世界観測を〈水と鏡像〉という設定の中で示そうとした不思議な作家でもありました。貫之の〈水と鏡像〉観とは一体どういっ...
View Article自由律俳句を読む 76 富永鳩山〔2〕馬場古戸暢
自由律俳句を読む 76富永鳩山〔2〕馬場古戸暢前回に引き続き、富永鳩山句を鑑賞する。影が陽をつれてくる 富永鳩山夏の朝の訪問客の様子を詠んだもののように思った。夏の影はどうにも濃くて、その背後の陽射しの激しさを表しているようなのである。不機嫌な時間と旅している...
View Article〔ハイクふぃくしょん〕哀愁くん 中嶋憲武
〔ハイクふぃくしょん〕哀愁くん中嶋憲武『炎環』2013年5月号より転載ひとりでいると、途轍もなく不安になる。九時半を回った。このところ残業つづきで、帰宅は毎晩遅い。十一時帰宅、一時就寝、六時起床、八時出社。その繰り返し。あと十余年もすれば定年だが、いつまで持つのやら。学生時代、サークルの後輩だった妻と七年つき合って結婚。二子玉川のマンションに住み、愛車はアウディ。息子二人は今春、それぞれ社会人となる...
View Article【鴇田智哉をよむ6】おもてとうらと、こゑのゑと。 小津夜景
【鴇田智哉をよむ6】おもてとうらと、こゑのゑと。小津夜景鴇田智哉をよむこの連載では、ディアファネースのヴェール性をフィジカルな皮膜論の文脈でのみ捉えるのではなく、そのトポロジカルな変換においてもたびたび語ってきました。たとえば「続・生きながら永眠する日」では匂いのヴェール(いちじくの匂いの子)に触れ、また「白をめぐって」では音のヴェール(ホワイトノイズ・囀・砂粒の音)を示し、さらに「キラリ的トポス」...
View Article【石田波郷新人賞落選展を読む】思慮深い 十二作品のための アクチュアルな十二章 〈序章〉 田島健一
【石田波郷新人賞落選展を読む】思慮深い十二作品のためのアクチュアルな十二章〈序章〉田島...
View Article週刊俳句 第404号 1月18日
第404号2015年1月18日■2014「角川俳句賞」落選展 ≫見る■2014「石田波郷賞」落選展 ≫見る【2014石田波郷新人賞落選展を読む】■思慮深い十二作品のためのアクチュアルな十二章〔序章〕……田島健一 ≫読む【2014角川俳句賞落選展を読む】■4. ゆるがされない勁さ……依光陽子 ≫読む新シリーズ〔ハイクふぃくしょん〕哀愁くん……中嶋憲武...
View Article後記+プロフィール405
後記 ● 西原天気ひとつところに暮らしていると、ある時期、いろいろな箇所にガタがきます。そこにクルマやパソコンの故障も重なってきたりする。ついでにカラダの不調も。修繕や買い替えが同時に押し寄せる。物入りなことですが、それが時間というもの、暮らしの経過ということでしょう。さて、ウェブマガジン『週刊俳句』...
View Article自由律俳句を読む 77 尾崎放哉〔1〕馬場古戸暢
自由律俳句を読む 77尾崎放哉〔1〕馬場古戸暢尾崎放哉(おざきほうさい、1885-1926)について、特段の説明は不要であろう。種田山頭火とならんで、最もよく知られた自由律俳人である。山頭火の俳風を「動」とするならば、放哉の俳風は「静」であったとされる。以下『自由律俳句作品史』(永田書房、1979)より、数句を選んで鑑賞したい。亀を放ちやる昼深き水...
View Article【八田木枯の一句】母在せば母にうるはし雪の伊勢
【八田木枯の一句】母在(ま)せば母にうるはし雪の伊勢西原天気母。尊敬語「在(ま)す」。うるはし(麗し)。雪。伊勢。美しいものがこれだけ連なって(盛られて)いながら、ひつこくもなく(ベタではなく)、全体の美しさが損なわれていない。これはいったいどうしたことでしょう。まず、母という語の、はるけさとちかしさ。それが「在す」によってたしかな温度・湿度をもちます。「母」の普遍的なイメージが作者自身の身のうち、...
View Article〔ハイクふぃくしょん〕猫のばか 中嶋憲武
〔ハイクふぃくしょん〕猫のばか中嶋憲武『炎環』2013年4月号より転載チーコが死にました。チーコというのは、おかあさんとわたしが大事にかっていたカナリアです。三学期がはじまって、二週間ほどしたある朝、となりのくつ屋さんの猫が、ベランダの鳥かごをあけて、くわえていったらしいのです。その日は金よう日で、パートからおかあさんが帰ると、くつ屋のおばさんがティッシュにくるんだチーコを連れておとずれて、本当に申...
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