雪兎 関根かな
真つ黒と真つ赤と三月十一日
囀りの音を遠くに心中す
さよならのあとはことさら麦青む
充電も放電も未完夏に入る
海の音留めてをりぬ桜の実
心臓にも部屋のありけり籠枕
泥鰌鍋以前と以後のある男女
嘘つかぬといふ嘘のあり晩夏光
夏霞海図に津波描かれず
亡き子らにけふ逢ひに行く雪兎
●
真つ黒と真つ赤と三月十一日
囀りの音を遠くに心中す
さよならのあとはことさら麦青む
充電も放電も未完夏に入る
海の音留めてをりぬ桜の実
心臓にも部屋のありけり籠枕
泥鰌鍋以前と以後のある男女
嘘つかぬといふ嘘のあり晩夏光
夏霞海図に津波描かれず
亡き子らにけふ逢ひに行く雪兎
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