$ 0 0 とは 上田信治日の色の春のふすまや目の当りタッパーの蕗味噌四角くて天地流連の命預けて雲丹の鮨濡れてゐて考へ顔のあざらしよ干し網のむかう三月晴れてゐる散る花のパジャマの下が干してある花烏賊のみなとに雲の多かりし花かつお人生は春ひらひらとはまぐりや夜開いてゐる喫茶店パン工場消えてもぬけの春の空富士山もいそぎんちやくも穴開いて海苔の海だれも見てゐない昼の雨のあと菠薐草を食べにけり会館に昔の松や雲に鳥日永とは鯉一つゐる町の川『俳句』2025年4月号掲載7句を含む